強気日記  平成21年度分

 

 「春休み」

 覚悟はあったとはいえ、
勝負師としての試練を受けました。
 現実を真っ直ぐに見つめて自分の中で、
反省は終えたところでこの日記を書いています。
 
 来年は雪辱の一年。
 悔やんでる暇はない。
 ただただ前を見て歩いていこうと思います。

 来年度四月から新しい仕事に就く事も
決まりました。
 畠山鎮七段の後任で奨励会の幹事を
務める事になりました。
 三月初旬に見習いとしてシフトに入りましたが、
やはりというか、かなりの気苦労。(笑)
 会員達の名前さえ全然わからない状態
ですから大変です。
 ただ若い熱気を感じて、自分もこの部屋で
この子達のようにやっていたのだと
なつかしい気持ちになりました。
 こちらも勉強、精進の連続ですが彼らと
同じく成長していくという気持ちを持っています。
 責任は重大ですが、将来を担う彼らとの
付き合いを楽しみにしているんですよ。
 
 2010年3月24日記

 

 

 

 「春の陽気」

 ここ二、三日で急に春の陽気を感じ
させる暖かさになりましたね。
 ともなって鼻もムズムズといったところです。
 最近は早起き、散歩、本を読む、子供と遊ぶ、研究会、
対局、競馬が生活のリズムになって日々是好日です。
 二月の対局は2勝1敗。少ないですが
研究会があるので、実戦不足といった感じはありません。
 だいぶというか以前より、集中力も増して
落ち着いてやれるようになってきたと思っています。
 相手のあることですから、いい結果は大変ですが、
自分の力だけは出せるようにはなっています。
 心配を掛けてる方もおられると思いますが
体調は万全ですからご心配なく。
 この陽気とともに雪解けに向って、
さらなる精進を重ねる所存です。

 前述で本を読むと書きましたが、これは長い間
怠ってきたものの一つでした。
 10代、20代は歴史小説が好きで随分読み
ましたが、ある時を境に飽きといいますか、
ほとんど読まなくなってしまいました。
 同じジャンルでいうのではなく、もっと幅広く良い
本がたくさんあるのに、それに手を伸ばさなかった
のは不覚でした。
 自分だけの狭い世界で限界があり、それに
閉塞感を感じていたのが、また本を読むことに
よって一気に視界が広がったように感じます。
 ある本によると朝早く起きる事と本を読むと
いうことは大成の絶対条件だそうです。
 時間を大切にするという事。
 人の話をよく聞き吟味する事。
 遅ればせながら、この二つはこれから一生
続けたいと思っている次第です。
 
 2010年2月26日記

 

 

 「早い、早い」

  早いものでもう2月ですね。
 このひと月、対局は3局と少なかった
のですが、仕事で家を空けることも多く
充実したスタートになりました。
 懸案の順位戦を勝てれば文句なかった
のですが、それだけはどうしようもありませんね。(苦笑)
 残りの対局にベストを尽くすのみです。

 今年になって、心身のケアが大事と
あらためて思い直し、早起きを実施しています。
 古事で早起きは三文の得というのが
ありますが、朝の早い時間の方が集中
できるような気がして、体調も良いです。
 子供が寝てるうちに一仕事というのも
ありますけどね。
 今まではお昼まであっという間でしたが
一日が長く、空きの時間には散歩や読書
と有意義に過ごせて楽しいですね。
 初めは布団から出るのが苦痛でしたが
習慣にしてしまえば、当たり前になると
本で勉強させていただき(笑)決意しました。
 それともう一つ。今年は70キロを切る事。
これは長年の悲願なので、必ず実現しよう
と思います。
 長い人生と思ったら、もう40過ぎてしまい
ましたからね。
 ぐうたらはもう卒業しなければ...
 ちょっとだけ襟を正してみようと思います。
 
 2010年1月31日記

 

 

 「賀正」

 明けましておめでとうございます。
 新しき一年を迎え、気持ちも一新
今まで以上に盤上に打ち込み、
普及にも尽力する心積もりでおります。
 今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 
 毎年の我が家の恒例行事として元旦は
家長として酒を家族に振る舞い、挨拶。
 そして宴会、初詣という手順なのですが
今日は冷え込みきつく、子供が小さいため
初詣は中止。
 近くの大型スーパーで子供と遊ぶという
日常と変わらぬ一日でした。
 それにしてすごい人。駐車所は並ぶし
エレベーターはなかなか乗れないし、と
2時間くらいで人酔い、退散してきました。
 なんの変哲もない一日からのスタート。
この日記を書き、これから少し将棋を
並べよう...
 日々の積み重ねを大事にした一年
にしたいですね。
 
 2010年元旦記

 

 

 

 「大晦日」

 早いもので今年最後の日記
ですね。
 普通は振り返ってみてというのが
相場ですが、今年は振り返らない
方がいいのではないか(笑)と思い
感想ということにします。
 世情も含めて厳しい一年になる
のではないか?という恐れを抱いて
いたのですが、それ以上の情勢に
なってしまい、勝負の世界の怖さ
というものを初めて経験したような
気がします。
 技術的にどうというよりも、心の
あり方、持ちようといったものがいか
に大切かを痛感させられました。
 恐れを抱き、守りに入ったら勝負
師失格と若い時は思っていましたが
いつの間にか自分がそのようになろう
としているとは...
 自分のやりたい事と役割をしっかり
務めているか?と自問自答する日々
が続き、そうではない、もう1度やらね
ばならないと思いました。
 子供もすくすく育ってる、多かれ少な
かれ応援してくれる人がいる。
 もっとやれるし、もっと楽しまなければ
いけない。
 生まれて一番勉強になった一年。
これを来年への教訓としなければ
いけない、ただでは起きない。
 そういう気持ちでいます。
 
 やっと有馬記念を取りましたよ!
(ダービーと有馬は相性の悪いレース
なんです。)
 といっても1、2番人気絡みの三連複
では自慢になりませんが...
 勝ち馬、絶対自信のドリームジャーニー
1頭軸流し。
 穴目を狙ったものの、ブエナビスタ強い
ですねぇ、という訳でちょい勝ちの結果に。
 しかし有馬よければすべてよし!(JRAの
キャッチコピー)気分よく今年の最後を飾れ
ました。
 
 大晦日ですね。風呂、酒、蕎麦、紅白
ゆく年くる年の定跡手順。
 今年一年ありがとうございました、よいお年
をお過ごし下さい。
 
 2009年12月31日記

 

 

 

 「メリークリスマス」

 いよいよ年末ですね。
もう対局もなく、気分的にはもう完全
にオフの体勢に入っている今日この頃
です。
 先日はタロウ氏、鎮七段と忘年会。
 気分良く、言いたい事をいう人たちが
揃ったので、回りから聞いてるとあまりに
も辛口の会話だったと思います。(笑)
 大変な一年だったけれども、来年も
お互い健闘をということで解散となりま
した。
 まあたまには酒を飲んで本音で語り
合うということをしなければ、ストレスが
溜まってしょうがない。(笑)
 有意義な一時を過ごせました。

 せっかくのクリスマスですが、嫁さんと
子供が風邪引き。
熱がないのが幸いですが、華やかな町
並み見物にという訳にもいきません。
 とにかく寒い時節。仕方なく?週末は
有馬記念で棋士仲間で乾杯!です。
 なんか遊んでばっかりですって?
良い時には勉強。悪い時には遊びまくる。
これ、古来からの定跡なんですよ。
 でも明日は研究会。よく遊び、よく学び
ですよね。

 2009年12月25日記

 

 

 「中年の星」

  ご無沙汰しております。
なんとも日記の書きにくい状況で心中察していただ
ければと思います。(笑)
 という訳で今回は気分転換で将棋の話はなし。
 ただ、10月の長浜、今月の加古川の将棋の日、京都の竜王戦に
来て下さった皆様、楽しく、有意義な時間を共有できました事を
この場を借りまして心から御礼申し上げます。
 またの再会を再戦を楽しみにしております。
 
 今回は好きな競馬の話を少々。
 最近、馬券を再開し始めました。
別に禁欲していた訳ではなかったのですが、
一時的に飽きたという状態になっていたのです。
 もちろんレースを見るのは好きで主要レースは見ていましたが。
 前は手堅く、馬連でという買い方でしたが、買い方を一新、
三連単という自分では禁断と思っていた方策に走っています。(笑)
 一日、2レースくらい買うのですが、多くても三十六点買い
くらいで済ますので、当った時の破壊力は抜群。
 負けても小額ですし、30回くらいに一回当れば勝ちですから気楽。
当って何百万という夢もありますしね。
 また競馬熱が出てきてチェックに勤しむことが多くなりそうです。

 昨日のレース、カンパニー強かったですね。
一昔前なら8歳でのG1制覇など考えられない事。
 天皇賞の時も、モニター越しに素人目にも素晴らしい出来だな〜と
思っていましたが流石に8歳、勝つことはないだろう...
勝つのは4歳という先入観から2着3着付けにしてしまいました。
 8歳という年齢は人間に例えると中年だそうです。
 40歳になっていきなりビックタイトルを2つ取って
引退だなんてカッコよすぎる!
 羨望と尊敬を込めて競馬を見たのは初めてかもしれません。
 馬券の方が取れれば泣いていたかも。
 しかし2着があなたですか...(う〜ん)

 二〇〇九年十一月二十三日記

 

 

 「秋分」

  秋も深まってきました。
 夜は肌寒い日もありますね。
 頭の調子はともかく身体だけは
 健康に過ごせているのがなにより。(笑)
  対局よりも研究会の方が多いのは
 困ったものですが、他の仕事はまずまずあり、
 結構忙しくやっていた週もありました。
  10月は5局ほど確定しているので、
 ここでなんとかしたいと思っています。
 連敗も止まりましたしね。
  勢いがないとテンションを上げるのが大変。
 もう一時期の最低からは脱しているのですが
 悪い勢いがついてますかね?
 楽しむように、笑うように心掛けてきました。
  明日は順位戦!
 強敵ですが力を出し切る事だけを考えています。
 
 二〇〇九年九月二十四日記

 

 

 

 「一行三昧」

 お盆で夏も中休みといったところでしょうか?
今日はいつになく涼しく、過ごしやすいですね。
 棋士になってからのワースト連敗が続き、
愚痴を書いても面白くないのでご無沙汰してしまい申し訳ありません。
 42歳の後厄、膿はもう出し切ったかな?(笑)
 考え過ぎて、もう考え疲れ。(笑)
 最近、本の中で一行三昧という言葉に出会いました。
 迷うよりも目の前の事に身も心も打ち込んで一つになること。
 さすれば自ずと迷い不安が消え、心に余裕が生まれる。
 禅の言葉なのですが、深く心に響くものがありました。
 良い事、悪い事があるのが人生。ずっとは続かない。
 長い梅雨ですがそろそろと思っています。

 ちょっと遅くなりましたが、
明日十六日近鉄将棋祭り出演です。
 朝から指導、昼は席上で夕方また指導というスケジュールです。
 将棋ファンの方と身近に接する事のできる
将棋祭りは楽しみな夏の風物詩。
 ぜひ皆様お越しください。
 
 二〇〇九年八月一五日記

 

 

 「七夕」

 暑くなりました。あっという間にもう七月ですね。
 夏は大好きなのですが、開放的な気分になりすぎるのか
この時期にあまりいい思い出はありません。
 今年も勝負の六月に全敗とは参りました。
 完全にへこんだ状態で気勢はまったく上がりませんが、
いつまでもくよくよしても始まりません。
 辛くとも現実を捉えて、前に進んで行こうと思います。
 
 将棋は奥深く難しいもの...
最近あらためてそう思う事例に立て続けに会い、
悩みの迷路に入っています。(笑)
 一つの例が先の名人戦第六局で
副立会人を務めさせていただいた将棋です。
 内容は羽生名人作戦勝ち、中盤もそつなく指し優位拡大、
手の流れも自然に見えて、なんの問題もなく勝勢に...
というふうに見えました。
 しかしその実はそうでなく終盤は逆転していたというのが
真実のようです。
 振り返って、一手ずつ噛み締めるように考えてみても、
なぜなんだ?という思いが未だに拭えない。
 こうやれば勝ちという順があり、これは悪手という
結論はあってもそれがまた釈然としない順で正直、
それしかないのか?という思い。
 自分の将棋でも一手の取引でこれは大得、
優勢にならなければおかしい...
というのがあらためて見ると自信のない局面であったり
不可解な事が多過ぎる。(笑)
 シンプルに明快にと心掛けているのですが、
将棋というのはいつもそういう訳にはいかない。
 これも将棋の魅力なんですね。

 二〇〇九年七月七日記

 

 

 「ディズニーランド」

花粉症の鼻炎も治まり、やっとさわやか
な気分で生活できるようになりました。
 インフルエンザ騒動も沈静化してきた
ようなので、先日子供と初めての旅行
にディズニーランドいって参りました。
 といっても彼女はまだ、よちよちで抱っこ
とベビーカーが必要なので、大変大変。
 乗れる乗り物も限られていてお昼寝の
時間もとってと、パークを満喫するという
訳にはいきませんでしたが、彼女自身は
一杯食べて、物珍しそうにキャラクター
見て、最後は夜のパレードに目を丸く
してと本当に楽しそうでした。
 それにしてもいつも感心するのがディズニー
スタッフのプロ意識の高さ。
 楽しませるという愛情をもって接する態度
を常に持っているからこそ人を飽きさせずいる
のだと思います。
 ここに来るといつも普及というキーワードを
考えさせられるのです。
 人間喜怒哀楽もあり、なかなかあそこまで
徹するのは難しい…
 棋士という性格上もサービス業には向いて
いないかな?(笑)
 私は一緒に楽しむ、共有するという感覚
が大事なのではないかと考えます。
 仕事となると疲れるし、つまんない。(笑)
 
今週は順位戦開幕。来週は竜王戦三位決定
戦と精神的に負荷の掛かる対局が続きますが
それを乗り越えて自分自身の充実を図れるよう
頑張ります。
 
今月15、16両日京都で行われる名人戦
第六局の副立会人を畠山鎮七段と務めます。
 前夜祭の参加、大盤解説も随時行います。
詳しくは連盟ホームページを御覧になって下さい。
 多くの御参加お待ちしております。
一緒に名人戦を楽しみましょう!

(平成二十一年六月二日)

 

 

 「皐月」

 陽気よくと言いたいですが、急に寒くなったりしてって…
先月と同じ出だしですね。(笑)
ともかく五月にもなって風邪など引かぬよう
気をつけています。
大事な竜王戦を負けて、返す刀で皐月賞も大敗。(笑)
ガックリきましたが、今年は気持ちを切らさないであきらめない。
人生まだまだ捨てたもんじゃない。(笑)
をモットーとしてやっています。
 まだまだ3位決定戦もあるし、天皇賞もある(笑)。と
前向きに鈍感に鈍感にと言い聞かせて…
 内容はまだまだですが、幸い他棋戦は好調。(競馬は絶不調です…)
 将棋に接する機会をもっと増やして競馬も適当に楽しんで。
こんな調子で一年やっていきたいですね。
  
 さて、世間はゴールデンウイークですね。
さあ遊びに出掛けるぞ!と予定されてる方は多いと思いますが、
棋士はこの機会に旅行にと考える人は少ないはずです。
(平日に時間の取れる人が多いからです。)
私といえば研究会に稽古、そして祝賀会出席と
遊びの予定などまったくありません。
 最近は家にいると娘がうるさくなってきて
落ち着く時間が少なくなってきました。
 そのうちまったくなくなりそうで、その対策を考慮中です。
 愛らしく楽しいのですが、ずっと〜というのは
辛いものですね。(笑)
 彼女はまったく飽きがこないみたいなんですが。(笑)
 家にいる時間が多いというのはこういうデメリット?も
あるんですよね。
 
 二〇〇九年四月二十七日記

 

 

 「桜」

 暖かくなったと思ったら、また寒いといった
気候の安定しない桜の季節になりました。
 昨年度は久しぶりの20勝越え。
 若い時分なら何言ってるの?いう感じ
ですが、今は20勝つのは本当に大変。
一次予選もないし...と言いたいところですが
一次からやったらもっとひどくなったりして。(笑)
 まあそれくらい最近は実力が拮抗した時代
になってきています。
 今は勝ち数よりその勝ちがどれくらい実に
なるか?が大事。
 大きな実が結ぶよう新年度を迎えて頑張
ろうと思う次第です。
 
 四、五月は順位戦がなく対局の少ない
時期なので自然と家族サービスしろという
ことになります。
 今年は子供を連れての初めてのお泊り
旅行を計画しています。
 まだ伝え歩きの段階なので正直、きつい
旅行になりそうですが、これも親の努めと
あきらめて?います。(笑)
 子供の成長は早く、表情なども一日
一日で変わってるように思います。
 いつの日か懐かしむことができるよう
しっかり胸に刻んでいこうと思います。

 四月の対局は今のところ三、四局になり
そうです。
 研究会などでいいリズムが出来つつあるの
いいスタートダッシュをしたいですね。
 特に竜王戦、楽しみにしてるんですよ!
 
 二〇〇九年四月二日記